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『侯王の聖占女』



 担当様タイトルシリーズ第二弾です(泣)。
 下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、とは言いますが、
 例外はあるんです……。

 いつも趣味に走りまくった話を書いてしまっていますが、
 今回もまたそんな話になりました。
 アラビアンといえばアラビアンですが、
 所謂アラビアンナイト的雰囲気はほとんどないという、
 私好みの世界観です。
 同じ趣味の方がいらっしゃってくれると、
 とてもうれしいです。
 あとがきにも書いたとおり、
 発端となったイメージは、
 満天の星と北アフリカの谷でした。
 人の気配の薄い雄大な景色は、
 心が洗われるような気持ちになります。
 そんなところで暮らしている女の子を考えているうち、
 星を視るシェラナが生まれました。

 イメージの元になったのが北アフリカということで、
 大量の造語のルビは、
 おおむねアラビア語あたりを元にしています。
 「聖占女(アルナイーラ)」と
 「聖星石(ナイール)」は
 「輝くもの」を意味する「アル・ナイール」から。
 「飾り紐(シュリータ)」は「リボン」、
 「侯妃(イクリーン)」は
 「冠」を意味する「イクリール」から、などです。
 雰囲気を出したく、
 かといって造語ばかりでも読みづらくなるということで、
 どれくらい使うか悩みました。
 いかがでしたでしょうか?

 同様に、一部のキャラの名前も、
 アラビアの名前から取りました。
 「カイス」は「厳しさ」
 「アスイール」は「純血」
 「ハイダル」は「獅子」
 「アズハル」は「輝く月」
 「イフラース」は「忠実」
 「ザフィル」は「勝者」
 「アーシム」は「守り手」
 「ヒッリザ」は「けち」
 「ファルナーズ」はペルシャ語まじりの「愛しい輝き」
 「ハッダード」は「鉄職人」
 「ラーイ」は「保護者」です。

 とはいえ私はアラビア語の素養がなく、
 リスニングも大変苦手な耳を持っていますので、
 正確かどうかはかなり怪しいです……。
 そこは造語ということでお願いします<(_ _)>

 プロット自体は割とすんなりできたのですが、
 実際に書いてみると、結構それました。
 シェラナは、もっと一般人寄りの活発な設定だったのです。
 ですが、本文でどんどん自分の気持ちを言ってきて、
 ああいうヒロインとなりました。
 アズハルはまったりキャラでした。
 叔父の罪のために沈黙を誓い、
 ピアスもどきのクリップを口につけているという設定は、
 本文を書きはじめた途端に降ってきたものです。
 声を出さない割に言いたいことを言っていますが、
 つきあいが長く志を同じとするカイス、
 従妹かつ聖占女のシェラナ、
 そして彼に恋するファルナーズ限定の能力で、
 パントマイムの達人ではありません(笑)。
 ファルナーズも、
 プロットではシェラナとまったく対等の友人関係でした。
 それが少しお姉さんっぽくなった反面、
 目が悪いゆえのドジっ子設定が大きくふくらみました。
 そのおかげで、
 本人に意識はないながらも
 アズハルにお姫さま抱っこされるシーンが追加され、
 さらに担当様のご意見で
 エンディングでも彼に迎えに来てもらったという、
 密かな出世キャラでした。
 侯妃シェラナの友人かつ恩人ですので、
 薬草官としてはとても入手できなかったメガネが、
 このあと贈られることでしょう。

 ストーリーで一番変わったのは、
 ザフィル糾弾のシーンです。
 もともとのプロットでも、
 ザフィルは私欲ではなく
 一種の義憤が動機となっていた敵役でしたが、
 皆の前で真相を暴かれたあとは、
 ハイダル侯国から追放されるはずでした。
 本人もそれを良しとし、
 贖罪のための巡礼者となって、
 正当防衛とはいえ殺してしまった
 エルファズを弔う予定だったのです。
 けれどもカイスにより、
 宰相を続けることになりました。
 一日の休暇は、
 これからもときどき取ることになると思います。

 創作する方は経験があると思うのですが、
 キャラや世界が、
 予定や作者都合にお構いなしに、
 それぞれの理屈で動きはじめることがあります。
 (……ありますよね?)
 このカイスの裁断もそうでした。
 書いてみないとわからないことが起きるから、
 やっぱり創作は楽しいです。

 カイスは暗君を装っているということで、
 あまり目立った活躍シーンがないのですが、
 実は自己主張の激しいキャラでした。
 暗君の演技をしていない素顔は優等生の王子様、
 という設定だったのに、
 自分でも気づいているように、
 案外そうでもなくなっています(笑)。
 そのせいで糾弾シーン以外にも、
 シェラナがらみの細かいシーンが
 あちこち変更になったり、
 描写が増えたりしています。
 さらに担当様のご意見もあり、
 改稿で出番がさらに増えました。
 ナジフの国は、
 領地の自治権を持つ諸侯の上に
 国王がいるという制度の国です。
 国王や各諸侯の政治的な思惑も当然あり、
 聖占女あがりのシェラナとカイスの結婚は、
 そう簡単には進みません。
 が、暗君の素質を持ちつつ明君となったカイスなら、
 あらゆる手を使って
 どうにかすることでしょう(笑)。
 

 おつきあいいただいて、
 どうもありがとうございました。

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