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『バルベスタールの秘婚』



 19世紀ヨーロッパの写真集を見ていたら、
 こういう世界を一度書いてみたくなって、
 初チャレンジしてみました。
 船、トランク、鉄道、銀行、ガス灯、新聞……
 個人的な19世紀アイテムを思いきり詰め込みました。
 読みあさった『シャーロック・ホームズ』も思い出しつつ、
 あれこれ調べる時間も楽しかったです。

 あとがきに書きましたが、
 この話は旅行したイギリスの思い出にも
 多くを負っています。
 ローダが地図を見上げたモルドー大陸鉄道駅は、
 ロンドン某駅を念頭に置いて書きました。
 もちろん現実の駅とはいろいろ違いますが、
 半透明の天井から空の光が落ちて開放的な、
 ここまで来られた自分は、
 ここからまたどこにでも行けるのだという
 明るさに満ちた空間のイメージは、
 そのまま旅行のときのものです。
 そこから、常に前に進もうとする
 ローダの姿も浮かんできました。
 その他、旅先でいろいろ食べた思い出も、
 違う料理ではありますが随所にのぞいています(笑)。

 フェルウスは、
 「個人としてはあまり王子様らしくない王子様」
 としてイメージしました。 
 彼は「兄に遠慮する控えめな弟」です。
 裏設定というか改稿時に削った部分なのですが、
 フェルウスは兄の存命中から、
 その婚約者であるリザベーヌに惹かれており、
 しかしその恋を貫くよりも、
 胸の内に秘めつづけることを選択しました。
 というわけで、フェルウスは、
 「自分の心情」を隠すことが第二の天性になっています。
 ですがその一方で、隠さねばならなかった反動から、
 「自分らしさ」には強いこだわりを持ち、
 出していい「自分」は徹底的に出すキャラです。
 なので結婚する相手として、
 一方通行の恋しかできない妖精よりも、
 一緒におだやかな愛を育める人間を選んだ、
 という話になりました。
 が、ローダ視点で話を進めたこともあり、
 このあたりのフェルウスの感情をうまく書けなかったことが
 心残りです(泣)。

 心残りといえば、なんと言ってもルスカールです。
 フェルウス、クラードと過ごした陽気な大学生活の裏で
 密かに反王室思想に感化されていった彼の変容は、
 今回まったく書けずじまいでした。
 貴族である彼と劇場の貧乏な女優の卵との悲恋という
 裏設定があったりします。
 物語としてはこの1冊でおしまいですが、
 脳内では、このあと脱獄したり煽動したり逃亡したりと、
 いろいろ波瀾万丈でパワフルなキャラでした(笑)。
 最終的には、
 平民出身のローダがバルベスタール王太子妃、
 そして王妃となる意義を、
 フェルウスよりも理解するキャラです。

 クラードは、
 ああ見えて一番女性には積極的なキャラだったのですが、
 これまた今回時間切れで、
 お相手予定だったコノリーとそこまで行けませんでした。
 この話の数か月後、転職したコノリーと
 コーヒーハウスでデートしているシーンを
 想像していただければうれしいです。
 ただ、これからも生傷は絶えないことになりそうです(笑)。

 
 おつきあいいただいて、
 どうもありがとうございました<(_ _)>

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